店名に『農園』とあるのですが、実は今はほとんど畑がありません。
…というのは昔、農業はズブの素人だったアスカ有機農園代表の伊原が一念発起して畑を始めた事が店名の由来となっているのです。
かつて建築現場で監督をしていた伊原は、約20年前の阪神大震災をきっかけに考え方が180度変わるほどの経験をしました。
生来、単純だけが取り柄のような人間ですが、毎日震災の惨状を目の当たりにして

『人間の力なんて知れてるな～！』
➡『我々だけの地球やないもんな！』 ➡『環境守らなアカンのちゃうん！』 ➡『そうや！とりあえず畑や！』

と、約1年程の間に思いは農業へとシフトし、小松菜とホウレン草の区別さえつかなかった男が自分で野菜を育てながら、当時まだ数少なかった無農薬農家さんを訪ねて野菜を集め、早朝に数軒のお客さまに野菜を届けてから出勤するという、サラリーマン(現場監督)と八百屋の二足のわらじを始めました。

しかし当時はまだ有機野菜を取り扱う店も少なく、知り合った有機農家さんたちは無農薬で精魂込めて作った野菜の多くを売れずに畑で廃棄されていました。そこでハタとひらめいたのが、 『そうや！この農家さんたちの野菜の価値を理解して買ってくれる人をもっと探して、つなぐ役目も必要なんとちゃうん！』 と思い、さらに新規就農した農家を応援することに強くやりがいを感じるようになっていったのです。

そしてお世話になっている農家の倉庫の二階をお借りして事務所を作り、その農家の方のご縁で購入した中古の移動販売車で引き売りを始めたのが約20年前。

これまたご縁で別の農家の所有するビルの1階に店舗を開設したのが約15年前。 あまり計画性こそありませんが、周囲の人々の温かいご支援と行き当たりバッチリの直感で自分でも知らない間に『サラリーマン農園』から『オーガニック八百屋』になっておりました。 その中で思うのは現代人の『食』があまりにも乱れているという事でした。

そのような食生活を続ければ、やがて人間は体も精神も次第に蝕まれて病気になるだろうし、病気になれば医者や薬に頼りすぎて自然治癒力も失われてしまうのではないかという危機感を抱きました。 そしてだんだん、 『野菜だけじゃなく、多くの人が食を中心としてライフスタイル全体を見直すきっかけを作りたいな～』 と思うようになり、商品もどんどん増えて、米・野菜をはじめとするオーガニック農産物はもちろん、安全な国産原料を使って伝統的な製法で作られた調味料やお酒、パン、豆腐、卵、肉、冷凍食品など、こだわり食品を揃え、さらに洗剤、基礎化粧品、浄水器や書籍、ＣＤに至るまで自分が『これだ』と思える商品を追加して、気がつけば約1000種類以上の商品となっていました。

決してブティックのようなおしゃれな八百屋ではありませんが、これからも皆さんと一緒に楽しんで作り上げていく、泥臭く温かみのあるお店でありたいと思っています。